手段が目的になってしまう人
『目的を達成できる人』と『何度やっても目的を達成できない人』。
この二者の違いは何でしょうか? その大きな要因の一つが、『目的と手段が混同してしまっている』ことです。
仕事を進める中で、手段が目的にすり替わってしまうことは少なくありません。
特に、組織に属していると、日々の業務がルーチン化し、本来の目的を見失いやすくなります。
しかし、目的を達成するためには、『目的と手段を明確に区別する』ことが極めて重要です。
では、具体的にどのようなケースで目的と手段が入れ替わってしまうのでしょうか?
目的が手段になってしまう具体例
『目的が手段になる』とは、
何を達成するのか(目的)ではなく、どうやるのか(手段)が目的になってしまう状態
のことです。
例えば、広告代理店のケースを考えてみましょう。
広告代理店で見られる5つの具体例
- 営業会議の開催が目的になる
- 本来の目的:クライアントに効果的な広告提案をすること
- すり替わった目的:営業会議を円滑に進めること、会議の準備をすること
- 結果:実際の提案やクライアントへの価値提供よりも、会議のための資料作成に時間を費やしてしまう。
広告代理店だけでなく日本の企業で最も多いのが、このパターンでしょう!
定例会議を開催するのが最大の目的になり、議題もないのに定例ということで開催。話すネタを探す為に1日費やす。。。効率という点で最悪な状況です!
- プレゼンの機会を得ることが目的になる
- 本来の目的:プレゼンを通じてクライアントに最適な広告戦略を提案し、プレゼンを通し、クライアントと自社ともに大きな成果を上げること
- すり替わった目的:プレゼンの機会を獲得することが目的。つまりプレゼンに参加して「仕事してます!」をアピールすることが最大の目的になっている
- 結果:プレゼンに参加した時点で仕事が終わったような気になり、肝心の中身も結果検証も疎かになっている
- 無難に仕事を終えることが目的になる
- 本来の目的:クライアントの売上向上を実現することを目指さなければいけない
- すり替わった目的:トラブルを避け、無難に案件を終わらせること。
- 結果:攻めの提案ができず、惰性的な仕事が続く。
- 広告媒体を売ることが目的になる
- 本来の目的:クライアントの売上を伸ばすために最適な広告手法を提案すること
- すり替わった目的:決められた広告枠や媒体を売ることを目的とし、値引きアピールしかできない
- 結果:本来クライアントに最適な施策ではなく、自社の都合で広告を売ることに終始してしまう。
- 勉強することが目的になる
- 本来の目的:学んだことを活かし、業務の成果を向上させること
- すり替わった目的:勉強すること自体が目的となり、クライアントへの提案までブラッシュアップできない
- 結果:知識は増えても、実務に活かせず、成果につながらない。
会議が目的化してしまう組織の危険性
特に広告業界では、1つ目の「会議の開催が目的になる」ケースがよく見られます。
『会議の多い会社は危ない』という言葉を聞いたことはありませんか?
売上が厳しい企業ほど会議が増える傾向にあります。これは、
- 具体的な成果が出ていない → とりあえず会議を開いて対策を議論する
- 経営層が現場の状況を把握できていない → 数値報告のための会議が増える
- 組織の意思決定が遅い → 承認を取るための会議が増える
といった悪循環が発生するためです。
定例会議は非常に危険です。日々の業務の流れが定例会議中心となり、定例会議に向けて、その報告の為だけに行動し、多くの時間を掛けて資料を作り、会議の為の会議をするような社員や部署があるのが現実です。
そして、それに気づいていない役員も多数存在します。これは日本の会社の効率の悪さの大きな要因の一つであり、見過ごすべきではありません。
月曜の定例会議のために、水曜日頃から会議の準備を始める。そして、会議を無難に乗り切ることが目的になり、そのためにクライアント訪問をするようになり、仕事の中心が会議になり、クライアントへの価値提供がおろそかになる
という問題が頻発します。

まさに、マイナスのスパイラルに陥っている状況です。
目的と手段を混同しないために
では、どうすれば目的と手段を混同せず、本質的な仕事ができるのでしょうか?
✅ 1. 目的を言語化する
会議や業務に取り組む前に、「この仕事の本来の目的は何か?」を明確にしましょう。
✖️ NG:今週の会議に向けて資料を作る
⭕ OK:クライアントの課題を解決するために、具体的な広告戦略を提案する
✅ 2. 手段と目的をセットで考える
日々の業務をこなす際に、「この手段は、本来の目的に直結しているか?」と問い続けましょう。
✖️ NG:営業報告のためにアポを取る
⭕ OK:クライアントの課題解決に向けた提案をするためにアポを取る
✅ 3. 成果で評価する文化を作る
成果ではなくプロセスばかり評価される組織では、手段が目的化しやすくなります。
✖️ NG:会議の回数や資料の量で評価
⭕ OK:クライアントの成果・売上向上で評価
まとめ
どうでしょうか?
『目的と手段を混同しない』ことは、仕事の生産性を高める上で極めて重要です。
日々の業務で、「この仕事の本来の目的は何か?」と問い続けることで、 手段が目的化することを防ぎ、本当に価値のある仕事ができるようになります。
ぜひ、目的意識を持ち、効果的に仕事を進めていきましょう!