【2026年最新版】広告業界の倒産はなぜ止まらないのか?

広告業界トレンド・未来予測

ポストコロナではなく「構造崩壊」の時代へ

はじめに

2026年、広告業界の倒産はもはや「一時的な不況」や「コロナの後遺症」では説明できなくなります。

コロナ禍は確かに、多くの広告会社を苦しめました。しかし、本当に問われるべきなのはその後です。社会が動き出し、広告需要も一定程度は戻ったにもかかわらず、倒産件数は減るどころか、高止まりしたまま推移しています。

これは偶然ではありません。

いま広告業界で起きているのは、景気循環による不調ではなく、ビジネスモデルそのものの限界が露呈した結果です。AIの進化、直発注の拡大、制作単価の下落、そして「人月型・中間マージン型」モデルの崩壊──。

本記事では、2023年以降の倒産動向をあらためて整理しながら、2026年を踏まえて、広告業界の構造的問題と、これから生き残る企業の条件を、できるだけ分かりやすく解説します。

第1章|倒産は「ポストコロナ現象」ではない

広告業界の倒産を語る際、いまだに「コロナの反動」という言葉が使われることがあります。しかし、2026年の視点で見れば、その説明はすでに不十分です。

コロナ禍は、多くの企業にとって“試練”であると同時に、“延命装置”でもありました。給付金、特別融資、返済猶予─これらによって、本来であれば淘汰されていたはずの問題が、数年間先送りされていたのです。

倒産が本格化したのは、支援が終わったからではありません。 支援が終わったことで、構造的な弱さが隠せなくなった─それが実態です。

第2章|倒産件数の推移が示す「3つのフェーズ」

フェーズ①:延命の終焉(〜2023年)

2023年は、広告業界にとって大きな節目となりました。コロナ関連融資の据置期間が終了し、返済が本格化したことで、資金繰りの厳しさが一気に表面化します。

この年の倒産件数は82件。数字以上に重要なのは、「これまで耐えていた企業が、耐えきれなくなり始めた」という点です。

フェーズ②:淘汰の加速(2024年)

2024年に入ると、倒産は一過性の動きではなくなります。月平均で10件前後、年間100件超という水準に達し、コロナ前と比べても明らかに高い状態が続きました。

この段階では、単なる資金不足だけでなく、事業モデルそのものが時代に合っていない企業が、次々と市場から姿を消していきます。

フェーズ③:再編と二極化(2025年〜現在)

2025年以降、広告業界は「倒産」と「生き残り」が同時に進む局面に入りました。市場全体が縮小しているわけではないにもかかわらず、企業間の差は急速に広がっています。

第3章|広告会社が倒産する本当の理由

① 固定費構造が重すぎる

広告業界は人件費比率が高く、売上が減少した際の調整が難しい業種です。売上が戻っても利益が残らなければ、キャッシュは増えません。融資返済が始まったことで、この弱点が一気に表に出ました。

② 成果主義への急激な転換

クライアントは「効果の見えない広告」を削減し、短期で成果が測れる施策へと予算を移しています。従来型の制作・提案モデルは、この変化に対応しきれなくなっています。

③ AIによる制作価値の再定義

AIの普及により、バナー、LP、動画、コピーといった制作物は、短時間・低コストで生み出せるようになりました。

これにより、「人が作業した時間=価値」という前提が崩れ、時間売り・納品型モデルは急速に成立しにくくなっています。

④ 直発注化と中間マージンの崩壊

大手広告主を中心に、インハウス化や制作会社への直接発注が進み、代理店の中間的な立ち位置は年々弱まっています。

第4章|2026年以降に生き残る広告会社の条件

条件①:「直接選ばれる理由」を持っている

誰の、どんな課題を解決できる会社なのか。これを5秒で説明できない企業は、価格競争に巻き込まれやすくなります。

条件② コンサルティング型へ踏み込めている

広告運用や制作だけでなく、売上構造や顧客設計にまで踏み込めるかどうかが、大きな分かれ目になります。

条件③ AIを脅威ではなく武器として使える

AIを「コスト削減の敵」と見るか、「付加価値を高める道具」と見るか。その姿勢が、数年後の明暗を分けます。

条件④ 特化と専門性が明確

業界、地域、課題──どこかに強く特化している企業ほど、価格以外の理由で選ばれ続けます。

結論|広告業界は、すでに次の時代に入っている

2026年の広告業界は、もはや「元に戻る」ことを前提に語れる世界ではありません。

倒産が続いているのは、業界が衰退しているからではなく、変化に適応できないモデルが、静かに整理されているからです。

これから生き残るのは、AIに置き換えられる側ではなく、AIを使いこなし、価値を再定義できる側。広告業界は今、厳しさと同時に、これまでにないほど明確な分岐点に立っています。

 

本記事は、【2026年版】広告代理店の未来はどうなる?という連載シリーズの第1話です。

次章では、倒産する広告代理店に共通する現場の構造を整理します。

👉倒産する広告代理店の共通点
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