広告代理店への就職・転職を考える人にとって、「実際にどんな仕事があるのか?」は非常に気になるポイントです。広告の仕事は目に見えづらく、体験しにくいため、外からはなかなかその全容が見えません。
ここでは、広告代理店で活躍する主要な8職種を紹介し、それぞれの仕事内容や必要なスキル、適性についてわかりやすく解説します。
(紹介する8職種一覧)
1.営業(アカウントエグゼクティブ)
2.メディアプランナー
3.プランナー(戦略設計)
4.コピーライター
5.アートディレクター(AD)
6.デザイナー
7.CMプランナー
8.プロデューサー
1. 営業(アカウントエグゼクティブ)
まさに花形で広告代理店の最前線で仕事を獲得してくる最も重要な仕事です。クライアントと代理店の窓口として、社内外の調整を担いながら、課題解決に向けた提案を行います。プロジェクト全体のハブとなる存在です。
主な業務:
- クライアントとの打ち合わせ、提案資料の作成
- 社内へのブリーフィング、進行管理
- プレゼンテーション、クロージング対応
向いている人:
- 忙しい自分が嫌いでない人
- クライアントの雑務が苦痛でない人
- 臨機応変は対応が得意な人
- 嫌な事を引きずらない人
- フットワークの軽さに自信がある人
- 体力に自信のある人
- 人と話すのが苦痛でなく、コミュニケーション能力がある人
- 相手から話しを聞き出すのが得意な人
🕘 営業(アカウントプランナー)の1日スケジュールと“あるある”
**ある1日のスケジュール(例)**
09:30 昨日の残務整理、メールのチェック、当日の行動チェック、売上会議の準備など朝から頭はフル回転でなければいけません。
11:00 そして、関係各所と調整や打ち合わせ
13:00 新規案件の提案準備
14:00 クライアント訪問で提案やヒアリング
18:00 帰社後に当日の整理をし、関係各所と情報共有
20:00 帰宅
あるある:
クライアントの「雑務や調査依頼」に振り回されるのは日常茶飯事。
今や、クライアントの飲み会は減少したとはいえ、関係者との情報共有に向けた飲み会も割と多め。
「提案資料のタイトルがいいね」と言われたときの喜びは営業の特権!
2. メディアプランナー
広告媒体の選定や出稿プランを設計する専門職。媒体社との交渉や、広告効果を最大化する配置設計などを担当します。
主な業務:
- 媒体提案・バイイング
- 広告枠の交渉・発注
- 媒体効果の分析と改善案の提案
向いている人:
- 情報整理や資料づくりが好きな人
- 相手の懐に入るのが得意な“調整型外交官”タイプ
- 数字や効果検証にワクワクできる人
- 効率やロジックを大事にできる冷静な思考力のある人
- 人との“貸し借り”を忘れずに、長く信頼を築ける人情報整理が得意、人との駆け引きに強い、気配りと数字に強い人
🕘 メディアプランナーの1日スケジュールと“あるある”
**ある1日のスケジュール(例)**
10:00 媒体社との打ち合わせ(新メニュー情報確認)
11:30 案件に応じたメディアプラン作成
14:00 営業と連携して提案資料を整える
16:00 媒体バイイングと価格交渉
18:00 出稿スケジュールと広告枠の管理対応
あるあるエピソード:
「あと◯万円で面積広げられますよ」と言われ、つい話に乗ってしまう
同じ広告枠を複数社で取り合うプレッシャー
媒体社との“雑談力”が実は一番の情報源になる
3. プランナー
広告戦略全体を組み立てる職種。マーケティングの知見を活かし、企画の骨格を作るプロジェクトの要です。
主な業務:
- マーケット分析、コンセプト設計
- キャンペーン全体設計と資料化
- 営業やクリエイティブとの連携・調整
向いている人:
- 複雑な情報を整理して、人に伝えるのが得意な人
- 世の中の流れに敏感で、自分の意見を持てる人
- 構成を考えるのが好きで、紙とペンがあれば1日中企画を練れるタイプ
- 流行に敏感で自分の意見を曲げずに通せる人
🕘 プランナーの1日スケジュールと“あるある”
**ある1日のスケジュール(例)**
09:00 クライアントからのヒアリング内容整理
11:00 マーケティングデータの分析と課題抽出
14:00 コンセプト設計とアイデア出し
16:00 クリエイティブと打ち合わせ
18:00 資料の構成とストーリー作成
あるあるエピソード:
頭の中では完璧な企画も、図にするとスカスカで焦る
「今週中に企画お願い!」と複数の仕事を絶えず掛け持ち
アイデアが出るのは帰り道の自転車の上だったりする
4. コピーライター
広告の言葉を紡ぐ表現のプロ。キャッチコピーやボディコピー、タグラインなどの開発を担います。

主な業務:
- コピー開発(広告・Web・動画など)
- コンセプトワーク、ネーミング提案
- プレゼンや表現意図の説明
向いている人:
- 普段から“いい言い回し”やネーミングが気になってしまう人
- 一人の時間に妄想や言葉遊びをして楽しめるタイプ
- 自分の言葉で誰かの気持ちを動かしたいという想いがある人
- 本や映画から“なぜ心に刺さるのか”を考えるのがクセになっている人
- 恥ずかしがらずに意見を堂々と話せる人
🕘 コピーライターの1日スケジュールと“あるある”
**ある1日のスケジュール(例)**
10:00 打ち合わせで企画趣旨のヒアリング
11:30 キャッチコピーのラフ案出し
14:00 クリエイティブと表現のすり合わせ
16:00 提案資料にテキストを整えて挿入
18:00 「ひとこと」に4時間かけてしまう自己との戦い
あるあるエピソード:
頭の中ではいいコピーなのに書き出すとダサい
「これ採用されたら飲みに行こう!」が合言葉
一番褒められるのは案外ボツ案だったりする
5. アートディレクター(AD)
広告のビジュアル面の責任者。表現のトーンを統一し、最適な制作スタッフの起用や進行を管理します。

主な業務:
- ビジュアルコンセプトの設計
- 撮影・デザインディレクション
- 制作全体のスケジュール管理
向いている人:
- 自分で絵を描くよりも、他人の才能を活かして全体をまとめるのが好きな人
- 「なんかバランス悪い」と一瞬で気づける“美意識センサー”を持っている人
- 複数人のクリエイターを束ねる立場にワクワクするタイプ
- アイデアを絵に変えるだけでなく、「予算」「スケジュール」も現実的に考えられる人
- デザインや色に敏感で、美的感覚と管理力を持つ人
🕘 アートディレクターの1日スケジュールと“あるある”
**ある1日のスケジュール(例)**
09:30 撮影現場でレイアウト確認
11:00 デザイナーと仕上がりチェック
14:00 プレゼンに向けたビジュアル資料作成
16:00 クライアントと修正案協議
18:30 スケジュール・進行状況の調整
あるあるエピソード:
「なんか違う」に悩み続ける日々
自分がデザインする時間はほとんどない
撮影の空気感づくりまで求められてしまう
6. デザイナー
広告のグラフィックやレイアウトを実際に形にする職種。アートディレクターの指示のもと、制作実務を担います。

主な業務:
- 広告・Web・販促物のデザイン制作
- 画像加工、レイアウト調整
- 入稿データの作成と管理
向いている人:
- 何かを見たときに「これ、もっと良くできる」とつい考えてしまう人
- 美術館よりも街のチラシやポスターから刺激を受けるタイプ
- Adobe製品を触っていると時間を忘れるくらい没頭できる人
- デザインの「意味」や「伝え方」にこだわりを持てる人
- 集中力があり、細部までこだわることができる人
🕘 デザイナーの1日スケジュールと“あるある”
**ある1日のスケジュール(例)**
10:00 修正依頼の反映作業(3回目)
11:30 新規案件のラフスケッチ作成
14:00 アートディレクターとの方向性すり合わせ
16:00 入稿用データの整理とチェック
18:30 最後の最後に“全差し替え”発生…
あるあるエピソード:
「ちょっとだけ変えて」が一番手間がかかる
フォント選びだけで1日終わることも
自分のデザインが使えずに悶々とする
7. CMプランナー
映像広告(TVCMや動画広告)の企画と構成を行う職種。映像で伝えるストーリーを構築し、演出意図まで設計します。
主な業務:
- 映像構成案(絵コンテ)の作成
- 撮影・演出ディレクション
- プレゼンテーションやナレーション案の設計
向いている人:
- 映像や音楽を使って「空気をつくる」ことに興味がある人
- ストーリーを思いつくと、つい書きたくなってしまうタイプ
- プレゼンの場で「見せ方」を工夫するのが好きな人
- アイデアを人に伝えるのが得意で、自信もある人
- 映像やストーリーが好きで、空間・時間の設計ができる
- 表現の引き出しが多い
🕘 CMプランナーの1日スケジュールと“あるある”
**ある1日のスケジュール(例)**
09:30 アイデア出し(白紙のまま1時間経過)
11:00 映像コンテの描き起こし作業
13:30 撮影スタジオとスケジュール調整
15:00 ナレーションの文言チェックと録音指示
17:30 プレゼンに向けたシナリオ読み合わせ
あるあるエピソード:
「15秒に全部詰めろ」というムチャぶり
映像の“余韻”にこだわりすぎて全体が崩れる
自分の案がそのまま放映されたときの鳥肌
8. プロデューサー
広告制作の進行全体を管理する責任者です。予算・スタッフ・スケジュールを調整し、成果物を納品まで導きます。予算も任される為、まさにプロジェクトでは社長のような立場です。
主な業務:
- プロジェクト全体の進行・予算管理
- スタッフの編成・キャスティング
- 外部パートナーとの調整・交渉
向いている人:
- 大局観がある人
- トラブル対応が嫌いでない人
- リーダーシップが苦痛でない人
- 部下の失敗を自分で被れる人
🕘 プロデューサーの1日スケジュールと“あるある”
**ある1日のスケジュール(例)**
09:00 ミーティング
10:30 進捗確認
13:00 請求処理
15:00 トラブル対応
18:00 翌日調整
計画どおりに進まないのが日常
外注との信頼構築がカギ
まとめ:広告業界で働くには?
広告代理店の世界は、華やかに見える一方で、地道な努力やチーム連携が求められる厳しい環境でもあります。しかし、その分「自分の仕事が世の中に届く」「人の心を動かす」やりがいを感じられる仕事です。
ここで紹介した8職種それぞれに、求められる役割や適性は異なります。
- 「人と話すのが好き」なら営業職やプランナーへ
- 「言葉にこだわりがある」ならコピーライターへ
- 「デザインや美意識に敏感」ならADやデザイナーへ
- 「全体をまとめることが得意」ならプロデューサーへ
自分の得意分野や性格、やってみたいことを照らし合わせながら、興味のある職種を深堀りしてみてください。
そして何より大切なのは、「広告の世界をもっと知りたい」という好奇心と、「人の気持ちを動かす表現がしたい」という情熱です。
この記事が、あなたのキャリアの可能性を広げる第一歩となれば幸いです。
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