企画書や提案書は、アイデアや計画を他者に伝えるために非常であり、
効果的なツールです。
特に、ビジネスの現場では頻繁に用いられます。
しかし、企画書の作成に慣れていない方にとっては、
どのような流れや構成にすればよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
初心者のための下書き方法
この記事では、パワーポイントを使って企画書を作成する際の事前準備と、
効果的な下書きの方法についてご紹介いたします。
企画書や提案書を作成する時に、やみくもにパワポに向かって手が止まっている人がいます。
そのような方法で、高度なパワポを完成させることができるのは、経験を積んだ人だけです。
初心者が真似をしてもできません。
初心者の方は、まずは紙を準備し、下書きでストーリーを考えることを推奨します。
自分の場合は、A4の紙、そしてB2の鉛筆で下書きを書くことを習慣としています。
1. 下書きの目的
下書きは、企画書作成の初歩です。
この段階で企画の大まかな構造や内容をまとめることで、
完成版を作る際の手間や迷いを減らせます。
簡単に言うと、下書きは企画書作成の「計画」のようなものです。
これにより、後々の作業がスムーズに進むことが期待できます。
2. 下書きの流れ
下書きをする場合、下記の様に大きく5段階の内容を考えます。
当然、作成する内容によって変わってきますが、ベースとなる考え方として参考にしてください。
①目的の明確化
最初に考える(決めること)は、今作成している(作成しようとしている)企画書の目的の明確化です。
この「目的に明確化」が確定しない段階で開始しても企画書は完成しません。
下記に具体例を4つ記載します。
1. 新製品の販売戦略の場合
新製品の販売戦略は、製品を成功させるための中核的な要素です。
下記要素を含んだ内容で作成する必要があります。
- 市場調査:競合他社の製品や対象となる顧客のニーズを抽出します。
- 価格設定:製品の品質、ブランド価値、競合を含んだ市場の受け入れ価格を基に設定します。
- プロモーション:広告、SNS、インフルエンサーとの連携などを利用して製品の魅力を伝えます。
- 流通経路:オンライン販売、実店舗、卸売りなど、どの方法で販売するかを決定します。
- アフターサービス:製品のサポート体制や保証、修理サービスの整備を確認します。
2. イベントの宣伝方法の場合
イベントの成功は、どれだけ多くの参加者を魅了できるかが鍵となります。
また、安全対策も忘れてはいけません。
- ターゲットの特定:イベントに参加してほしい対象者を明確にします。
- 安全対策:イベントの実施には安全対策は必須です。警備員や導線の確保を確認します。
- 広告:オンライン広告、新聞、雑誌などでの告知。
- パートナーシップ:イベントには複数社が参加する場合があります。関連企業や団体と連携し、相互宣伝。
- 口コミ:参加者や関係者にイベントの情報を広めてもらいます。
3. 新しいサービスの提供方法の場合
新しいサービスを導入する際のステップは以下のようになります。
- ニーズの特定:顧客の要望や市場の変化、売上の状況により新たなニーズの必要性を考えます。
- サービスの詳細設計:提供する内容、料金、利用方法を決定します。
- 試験運用:限定的な範囲でサービスを実施し、フィードバックを収集するのも手法として考えます。
- ローンチ:全体へのサービス提供開始時期を決定します。
- フィードバックの収集と改善:顧客の意見や要望を元にサービスを進化させます。
4. 社内の業務改善策の場合
効率的な業務運営のための改善策は以下のように考えます。
- 現状の分析:現状からどのような変更を必要とするのか。業務フローの確認やボトルネックの特定をします。
- KPIの設定:改善の目標となる指標を定義します。
- ツールの導入:業務効率化のためのソフトウェアやツールの導入の必要性を考えます。
- スタッフのトレーニング:新しい方法やツールの使い方を教育する必要性の有無を考えます。
- 定期的なレビュー:業務改善の進行状況を定期的に確認し、必要に応じて調整する工程を考えます。
上記の例は基本的な流れです。
上記が正解ではありません。ケースにより様々な方法が考えられますので、
状況に合わせて充分にアレンジしてください。
②ターゲット(対象者)の特定
目的が決まると、そのターゲット(対象者)が決まってきます。
漠然としないで、具体的にターゲットを確定します。
ある特定の人物になるまで特定(50歳の独身男性のビジネスマン、年収450万、賃貸暮らし。。。)
すると、その後の作業が進みます。
下記に具体例を記載します。
1. 一般消費者
- 定義:商品やサービスを直接使用・消費する最終的なユーザーのことです。
- 特徴:ターゲット層は非常に広いので、提供する賞品に合わせてターゲットを特定します。
- アプローチ方法:広告、SNS、イベント等を通じて直接コミュニケーションを図るのが王道です。
2. 企業クライアント
- 定義:ビジネスを行う法人や団体。B2B(ビジネス・トゥ・ビジネス)の取引と言われます。
- 特徴:長期的な取引関係になるのが普通です。価格よりも信頼性が重視されます。
- アプローチ方法:提携、提案書、営業活動、展示会やセミナー等での関係構築をします。
3. パートナー企業
- 定義:協力関係や提携関係を結ぶ企業。共同でビジネスを行う場合もあります。双方のメリットが重要です。
- 特徴:双方の強みを生かし合い、共同での成果を目指す関係になるでしょう。
- アプローチ方法:共同プロジェクト、業界イベント、ネットワーキングを通じての関係強化を図ります。
4. 社内の従業員
- 定義:同じ組織内のメンバー。社員やスタッフを指します。
- 特徴:組織の方針や文化、目標に基づく行動が期待されます。
- アプローチ方法:社内研修、ミーティング、社内コミュニケーションツールを使用しての情報共有を目指します。
5. 地域住民
- 定義:企業の周辺など特定の地域やコミュニティに住む人々。
- 特徴:地域の文化や習慣、ニーズが共有されていることが多いでしょう。
- アプローチ方法:地域イベント、公聴会、直接の対話やアンケートを通じての意見収集を実施します。
以上のように、対象者に応じてアプローチの方法やコミュニケーションの手法が異なります。
正確に対象者を特定することで、効果的な提案や企画が可能となります。
③メインメッセージの策定
メインメッセージは、提案や企画の核心となる情報や価値を伝えるためのものです。
それを明確に伝えることで、対象者に訴求力のある情報を届けることができます。
下記に具体例を記載します。
1. この製品の特長は?
- メッセージの例:「当社の新製品は、エコフレンドリーな素材を使用し、持続可能な環境をサポートします。」
- 説明:製品の一番の魅力や独自性を伝えるポイント。競合製品との差別化や利点を強調します。
2. どのような価値を提供するのか?
- メッセージの例:「このサービスを利用すれば、毎月の経費を20%節約できます。」
- 説明:提供する製品やサービスが顧客やパートナーにとってどのようなメリットや利益をもたらすかを明確にします。
3. イベントの目玉は何か?
- メッセージの例:「スペシャルゲストとして、国内トップの専門家が講演を行います!」
- 説明:イベントに参加するメリットや、他のイベントと差別化する特別な内容を強調します。
4. どのような業務改善が期待できるのか?
- メッセージの例:「この新しいツールの導入により、報告書の作成時間が半分に短縮されます。」
- 説明:提案する改善策やツールがもたらす具体的な効果や成果を伝えます。
5. 顧客をどのように獲得するのか?
- メッセージの例:「SNSとリターゲティング広告を組み合わせることで、新規顧客の獲得率を30%向上させます。」
- 説明:新しいマーケティング戦略や手法を通じて、どのように顧客を獲得するのかのアプローチ方法を明示します。
メインメッセージは、簡潔でわかりやすく、具体的であることが重要です。
そのメッセージが伝わることで、提案や企画の目的や価値が相手に明確に伝わります。
④必要なデータや情報の収集
提案書や企画書を信頼性高く、そして説得力を持たせるためには、適切なデータや情報の収集が欠かせません。
以下の例を参考に、どのようなデータや情報が求められるのかを検討し、その収集を行いましょう。
下記に具体例を5つ記載します。
1. 市場調査の結果
- 説明:目的とする市場の規模、顧客のニーズ、競合状況などを把握するためのデータを揃えます。
- 収集方法:オンライン調査、フィールドリサーチ、業界レポートの購入や参照など。
2. 製品のスペック
- 説明:製品の詳細な仕様や性能、特長などの情報。
- 収集方法:製品開発チームやメーカーからの取得、製品カタログやマニュアルの参照など。
3. イベントの日時や場所
- 説明:イベントの実施に必要な基本情報。日時や場所は参加者にとって非常に重要です。
- 収集方法:イベントの企画者や関連するチームからの情報提供も有効です。
4. 改善前後の業務の違い
- 説明:業務改善の効果を示すために、改善前と改善後の業務の違いや効果を示すデータ。
- 収集方法:実際の業務データの比較、スタッフや関係者からのフィードバックの収集を実施します。
5. 獲得する顧客の属性
- 説明:ターゲットとする顧客の年齢、性別、趣味、所得などの詳細な属性情報を調査します。
- 収集方法:過去の販売データの分析、アンケート調査、データベースの利用などです。
データや情報を収集する際は、その信頼性や正確性を確認することが大切です。
第三者からの情報やデータを利用する場合は、その出典を明記し、
可能であれば複数の情報源からデータを取得して交差検証することで、
その情報の正確性を高めることができます。
⑤企画の詳細を組み立てる
企画書や提案書を具体的かつ説得力を持たせるためには、
具体的な実施内容や手法をしっかりと組み立てる必要があります。
以下の具体的な例を基に、どのような詳細が必要かを考察しましょう。
下記に具体例を4つ記載します。
1. 製品の価格設定
- 説明:製品のコスト、競合との比較、市場の受け入れ可能価格などを基にした価格設定。
- 組み立て方:生産コスト、流通コスト、マージンなどを計算し、
ターゲットとする利益率を達成できる価格を設定。競合製品の価格や顧客の購買意欲も考慮します。
2. イベントのタイムテーブル
- 説明:イベントの流れやスケジュールを示すタイムテーブルを作成します。
- 組み立て方:開始時間、終了時間、各セッショの時間配分、休憩時間などを明確にし、
参加者がスムーズにイベントを楽しめる流れを計画します。
3. サービスの提供手順
- 説明:サービスを受ける顧客が経験するステップや手順です。
- 組み立て方:サービスの申し込みから受け取り、アフターサービスまでの一連の流れを明確にし、顧客にわかりやすく伝えます。
4. 業務改善のステップ
- 説明:業務の効率化や品質向上を実現するための具体的なステップ。
- 組み立て方:現状の業務フローの分析、改善ポイントの特定、新しいフローの提案、実施後の検証など、段階的に改善を進める計画を作成します。
5. 顧客獲得の手法
- 説明:新しい顧客を獲得するためのマーケティングやセールスの戦略を構築します。
- 組み立て方:広告、イベント、SNSマーケティング、口コミ戦略など、
ターゲットとなる顧客層に合わせた手法を選定し、具体的な実施計画を組み立てる。
企画の詳細を組み立てる際には、実現可能性を考慮しながら具体的な手法や手順を設定することが重要です。
そして、提案内容が現実的であることを示し、実施の現実性を表現します。
3. パワーポイントの流れ
パワーポイントの流れは、大きく7つの構成の組み合わせで構成されます。
A4で1枚のパワポなどもニーズがありますが、流れのベースは変わりません。
自分の中で作り上げた構成を1枚にするか?それなりの枚数にするか?
はプレゼンの環境などにより異なります。
プレゼン環境に合わせて作成してください。
1. タイトルスライド:企画の名称や提案者の名前を記載
- 説明:企画の全体のテーマや内容がひと目でわかるようなタイトルを大きな文字で配置します。
また、提案者名やチームの名前、日付も併記します。
2. 目的:この企画書の目的を明確に伝える
- 説明:企画の背景やなぜこの提案を行うのかの理由を明確にします。
つまり、聞く相手がこの企画書を見ることで何を理解し、どんな行動をすべきかを示します。
3. 対象者:企画の対象となる人々や企業
- 説明:この企画がどのような人々や組織に向けられているのかを具体的に示します。
例えば、特定の顧客層やパートナー企業など。
4. メインメッセージ:企画の核となるメッセージ
- 説明:企画の中心となる考えや価値、目標を一言または短い文章で伝えます。
このメッセージが企画全体を通しての中心軸となります。
5. データや情報:裏付けるための情報やデータ
- 説明:提案の正当性や信頼性を高めるための統計データ、市場調査の結果、などがあれば記載します。
提案内容に根拠・説得力を持たせる為には必要です。
6. 企画の詳細:具体的な提案内容
- 説明:前項で述べたメインメッセージを具体的に実現するためのアクションやスケジュールを記載します。
ゴールから逆算し無理のない範囲で予備日も踏まえた日程です。
7. 結論やアクションプラン:最終的な提案や次のステップ
- 説明:最後に企画の最終的な提案を総括して伝えます。締めの言葉です。
上記のような流れを参考に、パワーポイントを組み立てることで、
ストーリー性のある説得力のある企画書を作成できます。
また、視覚的な要素(写真、図、グラフなど)を適切に使用することで、
さらに理解しやすく魅力的な内容にすることができます。
文字だけではなく、グラフや図は積極的に活用しましょう。
4. まとめ
内容が明確になり、説得力を持った文書に仕上げることができます。
下書きは企画の骨格を作る過程であり、その後のブラッシュアップ作業の助けとなります。
企画書作成に自信がない方こそ、下書きの段階でじっくりと考え、整理することで、より高品質な企画書の完成に繋がります。
始めの一歩として、下書きの重要性を心に留め、企画の成功への道を歩んでください。