TVerとは何者か? 地上波を補完する“無料×広告”動画プラットフォームの全体像【メディアガイド版】

広告・マーケ用語解説

「続きはTVerで!」

最近、テレビを見ていてこの言葉を耳にする機会が急増しています。

多くの人にとってTVerは「見逃し配信ができる無料サービス」という認識かもしれません。

しかし、広告・メディアの視点で見ると、TVerはそれ以上の存在です。地上波テレビが本気で育てている“次世代の広告プラットフォーム”─それがTVerの正体です。

本記事では、広告主・広告代理店がメディア検討に使える視点で、TVerの仕組み・ビジネスモデル・将来性を整理します。

TVerとは?|テレビとインターネットをつなぐ共同プラットフォーム

TVerは、日本の民放キー局(日本テレビ、テレビ朝日、TBSテレビ、テレビ東京、フジテレビ)が共同で運営する公式・無料のテレビ番組配信サービスです。

  • 地上波で放送された番組の見逃し配信が中心

  • 一部の地方民放局コンテンツも配信

  • NHK、BS、CS放送は対象外

最大の特徴は、テレビ局が横断で参加している点にあります。これは他の動画配信サービスにはない、極めて特異な立ち位置です。

なぜTVerは「無料」で成立するのか?

TVerは、ユーザーから料金を取らない完全無料モデルです。その収益源は、動画広告に一本化されています。

  • 番組再生前・途中に挿入される動画広告

  • スキップ不可(テレビCMと同様の視聴体験)

  • 広告在庫はTVerが一元管理

つまりTVerは、「テレビCMの文脈を保ったまま、デジタル配信に拡張した広告メディア」と位置づけることができます。

 

TVerが広告主に評価される理由

TVerの価値は「無料」ではありません。広告主視点で重要なのは、以下の3点です。

① 地上波コンテンツによる高い信頼性

配信されるのは、テレビ局が制作・放送した公式番組のみ。YouTubeのようなUGC(ユーザー生成コンテンツ)と異なり、ブランド毀損リスクが極めて低い環境です。

② テレビCMと同じ“広告文脈”

バラエティ、ドラマ、報道、スポーツ。テレビと同じ番組文脈で広告が挿入されるため、CMとしての受容性が高いのが特徴です。

③ 若年層へのリーチ補完

地上波テレビの接触が減少している10代・20代・30代への接点を、TVerが補完します。

TVerのビジネスモデル|「自前販売」が意味するもの

TVerは2021年以降、広告枠の自社販売体制を本格化させました。これは単なる収益強化ではありません。

背景にあるのは、「テレビ広告とデジタル広告を分断しない」という意思です。

  • テレビCM+TVer広告の統合提案

  • 放送×配信を横断したリーチ設計

  • テレビ局主導の広告価値コントロール

TVerは、テレビ局にとって、“デジタルに奪われた広告費を取り戻す装置”として設計されているのです。

成長データが示すTVerの存在感

電通の調査によると、TVerを含むテレビ関連動画広告市場は

  • 2023年:443億円規模

  • 前年比:約26%成長

さらに2024年には月間動画再生数4.9億回を記録。

これは、「テレビ広告は減っているが、テレビ“由来”の広告価値は減っていない」ことを示しています。

パリ五輪で証明されたTVerの本質

2024年夏のパリオリンピックでは、TVerでの競技配信が大きな成功を収めました。

  • 総再生回数:約1.1億回

  • 深夜・早朝競技もスマホで視聴可能

  • 新規ユーザーの大量獲得

この事例が示したのは、TVerが単なる「見逃し配信」ではなく、リアルタイム性 × アーカイブ性を併せ持つ新しいテレビ体験の受け皿になりつつある、という事実です。

地上波テレビとTVerの関係は「競合」ではない

かつてテレビ局は、「ネット配信が視聴率を奪うのではないか」と警戒していました。しかし現在は考え方が変わっています。

どこで見てもいい。重要なのは、コンテンツに触れてもらうこと。

TVerは

  • 地上波の代替ではなく

  • 地上波の延長線上

にあるメディアです。

インターネット広告時代におけるTVerの役割

2019年、インターネット広告費はテレビ広告費を逆転しました。この流れは今後も変わらないでしょう。

しかしその中でTVerは、

  • 完全デジタル

  • 完全テレビ

どちらにも振り切らない「テレビ文脈を持つデジタル広告」という独自ポジションを築いています。これは広告主にとって、新しい“第三の選択肢”です。

TVerの将来性|地上波テレビの“唯一の救世主”ではないが…

TVerは、地上波テレビの唯一の救世主ではありません。

しかし、

  • 広告収益の新しい柱

  • 若年層接点のハブ

  • テレビ×デジタル統合の中核

として、極めて重要な存在になる可能性は高いでしょう。

まとめ|TVerは「テレビ広告の進化形」である

TVerは単なる配信サービスではありません。

  • 地上波の信頼性

  • デジタルの利便性

  • 広告モデルとしての合理性

これらを融合した、次世代のテレビ広告プラットフォームです。

広告主・広告代理店にとってTVerは、「テレビか、デジタルか」という二択を超えた現実的で有効なメディア選択肢として、今後ますます存在感を高めていくでしょう。

 

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