ラジオ広告の再注目と測定の難しさ
近年、ラジオ広告は「ながら聴取」や「音声メディアブーム」の影響で再注目されています。
特に、スマホアプリ(radiko)やポッドキャスト連携により、若年層や通勤中のユーザーにもリーチが可能になっています。

ラジオに関しては、紙メディアと違いデジタル化は追い風になっていると思っていいでしょう!デジタル化に関しては様々な活用方法が考えられます。
実際、2023年〜2024年の広告統計(電通「日本の広告費」)によれば、ラジオ広告費は他のマスメディアと比較して減少幅が小さく、回復傾向が最も顕著な媒体の一つと考えていいでしょう。
これは、デジタル連携による可視化の進展や、ラジオ特有のブランド浸透力が広告主に再評価されていることを示しています。
ただし、テレビ広告のような明確な視聴率測定が難しい媒体であるため、効果測定の手法や捉え方には工夫が必要です。
ラジオ聴取率の基本と測定のしくみ
■ 聴取率とは?
- テレビが世帯視聴率を基本とするのに対し、ラジオは個人ベースで聴取率を算出します。
- 例えば、同じ1人が聴いていたとしても、テレビの視聴率(世帯視聴率)では、1世帯が視聴していれば全員が見たものとしてカウントされ、分母が2世帯であれば視聴率は50%となります。一方でラジオの聴取率は個人単位でカウントするため、たとえば同じ2世帯で計8人いた場合、そのうちの1人しか聴いていなければ8分の1=12.5%になります。
つまりこれは、ラジオが「世帯」ではなく「人」単位で集計しているためであり、世帯視聴率と比較すると、ラジオの聴取率は相対的に低く見える傾向があるのです。
なお、テレビにも個人視聴率のデータはありますが、ラジオと同様の前提で測定されるため、ラジオの数値とより公平に比較できます。
このように、テレビは世帯単位で視聴を集計し、ラジオは個人単位で集計するため、同じ人数が聴いていたとしても、ラジオの方が見かけ上の聴取率は低く出る傾向があります。
■ 測定手法(2025年時点)
- ビデオリサーチ社の「RADIO LISTENER調査」が中心。全国主要エリアで年2回実施。
- 調査票による自己記入方式(RADIO LISTENER調査)で、1週間分のラジオ聴取内容を回答。
- radikoによるデジタルログ分析と組み合わせたハイブリッド調査も一部で導入中。
■ 測定環境の変化
- スマートフォンやカーオーディオ、Bluetoothスピーカーなど聴取端末が多様化。
- radikoのタイムフリー視聴やエリアフリー利用者の増加により、従来の「地域密着」だけでなく広域リーチや指名買いリスナーの把握も可能に。
ラジオ広告の効果をどう測るか?
ラジオ広告の効果測定では、以下のような多角的アプローチが取られています。
① 認知・態度変容の測定
- ラジオCMの聴取後に「覚えている」「調べた」「問い合わせた」などの行動変容をアンケートで把握。
- 特にタイムセールやイベント誘導型の広告では短期反応の測定が可能。
② Web・電話・来店への波及効果
- CM放送後の検索ボリュームの変化
- 電話問い合わせ数の推移(コールトラッキング)
- キャンペーンコードによる来店者の識別 など
③ デジタル連携(radikoのログ解析)
- radiko経由の再生数や、CM挿入タイミングのエンゲージメント分析。
- 番組聴取中の離脱率や再生完了率などを番組単位で可視化。
ラジオ広告の活用ポイントと評価軸
続いて、ラジオ広告のポイントを整理でsT見ましょう。以下の要素は一見すると広告媒体としての特徴に見えますが、実際には「どのようなターゲットに、どの程度リーチできるのか」「どれほど効率的に成果が出たのか」といった効果測定の指標に直結する要素であり、成果の裏付けを捉えるうえでも重要な視点です。
■ 地域密着と特定層への強さ
- ローカル局を活用すれば、地域イベント・小売店・行政告知などにも高い親和性。
- 高齢層や運転中の男性層など、特定リスナー層への浸透力が高いため、ターゲットごとの反応率や来店計測がしやすい。
- このように、リスナー層が明確なラジオは「誰に届いたか」「どう反応したか」という効果の追跡がしやすい点が測定にも有利に働きます。
■ コスト効率の高さ
- テレビや新聞に比べて制作・出稿コストが圧倒的に低価格。
- CPA(顧客獲得単価)やROI(投資対効果)での優位性が出やすく、限られた予算での検証・比較が容易。
- 広告効果をコストとのバランスで評価する場合、低予算でも反応が得られる点は数値化しやすく、効果測定に直結します。
■ ブランド連想・音声による記憶定着
- 音声の繰り返し接触によりブランド名や商品名の想起率が高い。
- jingles(ジングル)やナレーションの印象が残りやすい。
- 想起率やブランド認知の定性調査(例:アンケート調査やブランドリフト測定)と組み合わせることで、ラジオ広告の心理的効果を測定することが可能です。
おわりに:ラジオ広告の効果測定は「想起と反応」をどう捉えるか
ラジオ広告の効果は、単に「何人に届いたか」ではなく、聴いた人がどう行動したか・記憶したかという質的な要素で判断されるべきです。
radikoやWebとの連動によって、従来のアナログ調査に加え、デジタルログによる補完が進んでおり、広告主にとっても分析しやすい環境が整いつつあります。
今後は「広告効果=数値化困難」という先入観を超えて、音声広告ならではの心理的・行動的な反応をどう把握し活用するかが評価のカギを握ります。

