広告代理店の平均年収【2026年版】電通の実態を推定|博報堂・サイバーと比較

キャリア・働き方

「広告代理店は年収が高い」といわれます。実際、電通グループや博報堂などの公表数値は、日本の民間給与の平均を大きく上回っています。

ただし、最初に知っておきたいことがあります。ニュースや転職サイトで紹介される「電通の平均年収」「博報堂の平均年収」には、広告の実務を担う事業会社ではなく、少人数の持株会社の数字が使われている場合があります。

その数字を見て、「広告代理店へ入れば全員が1,000万円以上になる」と考えるのは正確ではありません。

この記事では、2026年7月時点で確認できる公式資料、現在の求人情報、社員投稿データを分けて使い、主要企業の平均年間給与と、その数字の正しい読み方を整理します。株式会社電通については推定の根拠も明示します。

広告代理店・広告関連企業の平均年収【2026年最新】

まず、広告の実務を担う事業会社を中心に比較します。

株式会社電通は公式の平均年間給与を公表していないため、後述する根拠から推定した数値です。それ以外は有価証券報告書などの公表値です。

会社名 平均年間給与 対象人数 数字を読むときの注意点
株式会社電通 約1,200万円前後
推定範囲:1,100万~1,300万円程度
5,251人 公式平均は非公表。当サイトが過去の公式値、博報堂、求人、社員投稿データから推定
博報堂 1,099万円 4,580人 広告事業会社の数値。2026年3月期から開示された比較しやすいデータ
サイバーエージェント 913万8,000円 2,588人 広告のほか、メディア・IP、ゲームなど複数事業を含む提出会社単体の数値
Hakuhodo DY ONE 582万9,000円 2,690人 デジタルマーケティング事業会社の数値
ADKホールディングス 公式の最新平均は非公表 現在は非上場。過去の数値を最新年収として使わない

参考として、国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」では、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円です。電通の推定値、博報堂、サイバーエージェントの公表値は、この平均を大きく上回ります。

ネット上の年収記事や検索結果では、「電通の平均年収は約1,500万円」と紹介されることがあります。この根拠として使われているのが、株式会社電通グループの有価証券報告書に記載された平均年間給与です。最新の2025年12月期は1,595万9,402円ですが、これは広告事業会社の株式会社電通ではなく、グループ経営を担う持株会社135人の平均です。株式会社電通には5,251人の従業員がいるため、この数字をそのまま電通社員全体の平均年収とはいえません。次の章では、公開情報から株式会社電通の実態に近い年収水準を推定します。

株式会社電通の平均年収は約1,200万円前後と推定

電通で株式を上場しているのは、広告実務を行う株式会社電通ではなく、親会社の株式会社電通グループです。株式会社電通グループは東証プライム市場上場(証券コード4324)の純粋持株会社で、株式会社電通は同社が100%保有する非上場の事業会社です。

そのため、上場会社である電通グループの有価証券報告書には持株会社135人の平均年間給与が掲載されますが、株式会社電通5,251人の平均年間給与は掲載されません。そこで、確認できる複数の数字を重ねて株式会社電通の年収水準を推定します。

確認できるデータ 数値 推定での使い方
持株会社化前の旧・電通 2018年平均1,179万7,585円
従業員6,921人
広告事業を含む時代の公式値であり、現在の事業会社を考える基準になる
博報堂の最新公式値 平均1,099万円
従業員4,580人
同じ大手総合広告会社の事業会社として比較しやすい
OpenWorkの社員投稿 回答者平均1,286万円
正社員582人・平均年齢38歳
公式値ではなく回答者の偏りもあるが、現在の水準を考える参考になる
現在のキャリア採用 モデル年収580万~1,500万円 中途採用で実際に提示されている年収帯を確認できる

これらを総合すると、株式会社電通の現在の平均年収は、約1,200万円前後、幅を持たせると1,100万~1,300万円程度と見るのが妥当です。

持株会社の約1,596万円よりは低いものの、博報堂の公式平均1,099万円を上回る可能性があり、国内企業の中でも高い給与水準にあるという結論は変わりません。

電通の年代別年収はどの程度か

年代別の公式給与表は公表されていません。

現在の求人例では25歳約500万円、30歳約800万円とされている一方、社員投稿データでは平均年齢38歳・平均1,286万円です。

両方を踏まえると、次の範囲が実務的な目安です。

年代・立場 推定年収の目安 見方
20代 500万~800万円程度 賞与、残業代、評価で差が出る。20代後半に800万円を超える人もいる
30代 800万~1,300万円程度 等級、専門性、担当案件、マネジメント経験による差が広がる
40代・管理職層 1,200万~1,800万円以上 役職と評価によって幅が大きい。上位層は目安を超える可能性がある

これは公式の年代別給与ではなく、公開情報から導いた目安です。

インターネット上で見かけるMC・PC・SP・GMなどのグレード別年収も、現在の公式給与表が公開されているわけではないため、断定的には扱いません。

「平均年収」をそのまま自分の年収に置き換えない

1.持株会社と事業会社では社員構成が違う

持株会社には、グループ経営、財務、法務、人事、投資、海外事業などを担う管理職や専門人材が集まりやすくなります。人数も事業会社より少ないため、高い役職者の給与が平均へ強く反映されます。

一方、広告事業会社には、営業、マーケティング、メディア、クリエイティブ、デジタル、管理部門など幅広い職種と年代の社員が在籍します。

今回、博報堂は4,580人の平均年間給与として1,099万円を開示しています。持株会社だけの数字より、広告会社で働く人の水準を考えるうえで参考にしやすいデータです。

2.平均年齢と役職構成で数字は変わる

平均年収には、新卒社員から管理職までが含まれます。平均年齢が高い会社、管理職の比率が高い会社は、同じ業界でも平均年収が高くなりやすい傾向があります。

そのため、平均年収1,000万円の会社へ入社しても、若手や中途入社直後の年収が1,000万円になるとは限りません。

3.同じ会社でも職種・等級・評価で差が出る

営業、ストラテジー、クリエイティブ、メディア、デジタル、データ、管理部門では、評価される経験や昇格の仕組みが異なります。

また、中途採用では、現在の年収、担当してきた顧客、案件規模、マネジメント経験、専門性などによって提示条件が変わります。

会社の平均より、自分の経験に対してどの等級・年収が提示されるかを見る方が実務的です。

広告代理店の年収は会社の種類で大きく変わる

大手総合広告会社

大企業の大規模な広告予算を扱い、テレビ、新聞、デジタル、イベント、店頭、PRなどを統合して動かします。担当する金額、関係者、責任の範囲が大きく、給与水準も高い企業があります。

ただし、会社名だけで年収が決まるわけではありません。配属、等級、担当業務、評価による差があります。

デジタル広告・マーケティング会社

広告運用、データ分析、CRM、EC、マーケティングテクノロジーなど、職種の幅が広い領域です。

同じデジタル系でも、運用中心の職種と、データ・戦略・プロダクトに近い職種では給与条件が異なります。

「デジタル系だから高い」「運用職だから低い」と一括りにせず、求人ごとの職務内容と年収レンジを確認する必要があります。

中堅・中小・地域広告会社

中堅・中小の広告会社は、地域、得意媒体、顧客構成、収益性によって年収が大きく変わります。

大手より給与が低い会社がある一方、専門分野を持ち、高い利益を確保している会社もあります。

規模だけで判断せず、主要顧客への依存度、会社の得意分野、賞与実績、昇給制度、固定残業代の扱いまで見てください。

ハウスエージェンシー

特定の企業グループを主な顧客とする広告会社です。

給与制度が親会社やグループの影響を受けることがあり、案件の安定性や働き方にも会社ごとの違いがあります。

安定して見える一方、扱える業種や媒体が限られる場合もあるため、年収とあわせて将来身につく経験を確認します。

なぜ大手広告会社の年収は高いのか

一人が動かす予算と責任が大きい

大手広告会社では、一つの案件でも多額の広告予算を扱います。営業担当者は企画を売るだけでなく、予算、契約、制作、媒体、審査、進行、効果検証まで、多くの関係者を動かします。

大きな取引を継続して任せられる人材には、それに見合う処遇が必要になります。

専門性の高い仕事が増えている

現在の広告会社は、媒体枠の手配だけを行う会社ではありません。

事業戦略、顧客データ、EC、システム、AI、ブランド体験など、企業の経営課題に近い仕事が増えています。

戦略と実行の両方を理解し、社内外の専門家をまとめられる人材の市場価値は高くなります。

人材獲得の競争がある

広告会社が必要とする人材は、コンサルティング会社、IT企業、事業会社のマーケティング部門などからも求められます。

特にデータ、テクノロジー、事業開発に強い人材を採用するには、競争力のある給与が必要です。

高年収だけで会社を選ぶと合わないことがある

広告会社の給与を見るときは、金額だけでなく、その年収で何を任されるのかを確認してください。

  • 担当するクライアントと案件数
  • 営業、企画、制作、運用の役割分担
  • 固定残業代に含まれる時間と、超過分の扱い
  • 賞与の比率と、会社・個人業績による変動
  • 休日・夜間対応が発生する条件
  • 昇格条件と、入社後に期待される成果

すべて確認したい項目ですが、面接で一度に直接聞くと、質問が細かすぎる印象になる可能性があります。面接で確認する項目と、内定後の条件面談で確認する項目に分けるのが現実的です。

確認項目 適したタイミング 聞き方
担当クライアントと案件数 配属部門の面接 「この職種では、通常何社・何案件ほど担当しますか」
営業・企画・制作・運用の役割分担 配属部門の面接 「案件はどのようなチーム体制で進めますか」
固定残業代と超過分の扱い 求人票・内定後の条件面談 「固定残業代の対象時間と、超過分の支給方法を確認させてください」
賞与の比率と変動 最終面接後・条件面談 「提示年収のうち、固定部分と業績連動部分の内訳を教えてください」
休日・夜間対応 配属部門の面接 「休日や夜間対応は、どのような案件で、どの程度発生しますか」
昇格条件・期待される成果 最終面接・条件面談 「入社後6カ月から1年で、どのような成果を期待されていますか」

「担当クライアントはどこですか」と聞いても、守秘義務や配属未定のため答えられないことがあります。会社名より、担当社数・案件数・予算規模・チーム人数を確認する方が実態をつかめます。

面接で特に聞く価値が高いのは、次の3点です。

  • チーム体制と役割分担
  • 休日・夜間対応の発生頻度
  • 入社後に期待される成果

固定残業代、賞与、年収内訳は、面接で無理に聞き切るより、内定後に提示される労働条件通知書や条件面談で正確に確認する項目です。

高い年収が、責任の大きさ、調整範囲、成果への期待を含んだ条件であることは珍しくありません。

広告代理店が忙しくなりやすい理由と、自分に合わない忙しさの見分け方は、広告代理店は本当に激務?きつい5つの理由と辞めたいときの判断軸で詳しく解説しています。

転職で年収を比較するときの4つの確認

1.基本年収と賞与を分けて確認する

想定年収の中に、固定賞与、業績賞与、残業代、各種手当のどこまでが含まれているかを確認します。業績賞与の比率が大きい場合、提示額と実際の支給額に差が出る可能性があります。

2.入社時の等級と昇格条件を確認する

同じ年収でも、すでに上限に近い条件なのか、昇格によって伸びる余地があるのかで意味が変わります。評価の時期、昇格の条件、管理職になる前後の処遇を確認します。

3.仕事内容と年収が釣り合っているかを見る

「営業」と書かれていても、新規開拓中心なのか、既存顧客の統合プロデュースなのか、制作進行まで一人で担うのかによって負担は違います。求人票の職種名だけでなく、実際の担当範囲を確認してください。

4.自分の経験がどの会社で高く評価されるかを比べる

テレビ・新聞などのマス広告、デジタル運用、クリエイティブ、営業、データ分析では、経験を高く評価する会社が異なります。

一社の求人だけで判断せず、同業の広告会社、事業会社のマーケティング部門、媒体社、IT・SaaS企業などを並べると、自分の市場価値と選択肢が見えやすくなります。

広告・メディア業界の経験を生かし、年収と働き方の両方を比較したい方は、広告・メディア業界経験者向けの転職サービス解説をご覧ください。すぐに応募する前提ではなく、業界経験を理解できる相談先の選び方を整理しています。

広告代理店の年収に関するよくある質問

Q.広告代理店はすべて高年収ですか?

いいえ。大手総合広告会社には高い給与水準の企業がありますが、会社規模、得意分野、顧客構成、収益性、地域によって差があります。「広告代理店」という業種名だけでは判断できません。

Q.電通の平均年収は約1,596万円ですか?

正確には、株式会社電通グループの2025年12月期における提出会社135人の平均年間給与が1,595万9,402円です。広告事業会社である株式会社電通全社員の平均年収として公表された数字ではありません。当サイトでは、過去の公式値、博報堂の公式値、現在の求人、社員投稿データを合わせ、株式会社電通の平均年収を約1,200万円前後、推定範囲を1,100万~1,300万円程度と見ています。

Q.ADKの平均年収はいくらですか?

ADKホールディングスは現在非上場であり、上場企業のように有価証券報告書で継続開示される最新の平均年間給与は確認できません。過去に公表された金額を2026年の平均年収として扱わず、現在の募集職種ごとの提示年収を確認する方が適切です。

まとめ|会社の平均より、自分に提示される年収を見る

2026年の公開情報を総合すると、広告事業会社である株式会社電通は約1,200万円前後と推定されます。公式値では、博報堂が1,099万円、サイバーエージェントが約914万円です。

検索結果でよく見かける電通の約1,596万円は、持株会社135人の平均です。広告会社への就職・転職を考える際に、その数字を自分の想定年収として使うことはできません。

確認すべきなのは、応募する会社と職種、自分に提示される等級、基本年収、賞与、残業代、入社後の役割です。

年収だけで会社を選ぶのではなく、これまでの経験が評価される場所で、どのような仕事と働き方を得られるのかまで比較してください。

広告・メディア業界での経験を、次の年収とキャリアにつなげる

業界経験を理解できる転職サービスと、相談前に整理したい条件を確認できます。

広告・メディア業界向けの転職サービスを見る

主な出典・確認資料

推定に使用した参考データ

株式会社電通の推定年収は公式公表値ではありません。旧・電通の有価証券報告書、現在の求人情報、社員投稿データ、博報堂などの開示資料を組み合わせて推定しています。