テレビCMとオンライン動画CMの違い
若者のテレビ離れが進んでいます。
30歳未満のテレビを持っていない世代は2010年の5.6%から2017年には15.3%に上昇しました。
30歳未満のスマートフォンの普及率が50%を超えた2012年から上昇傾向が高まっています。
30歳未満ではインターネットの利用時間がテレビの視聴時間を逆転します。
今後は30歳代でも同様の傾向となることは確実です。
テレビ離れによるオンライン動画の普及
テレビ離れのターゲットにアプローチする方法としてオンライン動画に注目する企業が増えてきています。
単なるテキスト広告ではなく、インターネット上で動画広告を放映します。
オンライン動画の大きな特徴として【尺の制限がない】ことが考えられます。
テレビCMは15秒単位が基本です。15秒・30秒を中心に60秒までがマックスと考えていいでしょう。
メイキング映像などを放映することはできません。
インターネット環境が整うことに比例して、テレビCMの流用だけでなく、オンライン動画向けにコンテンツを制作するクライアントが増えてきました。
SNSと連動しながら、数多くの素材を放映する企業も増えています。
日本の動画広告市場は大きな成長過程にあり、2016年度は前年比で157%の842億円まで成長しています。
特にスマートフォンの動画広告市場の成長は著しく前年比では2倍の成長となり、576億円となっています。
今後も成長を続けていくことは確実です。
テレビCMとオンライン動画CMは何が違うのか?
では、テレビCMとオンライン動画では何が違うのでしょうか?
単純にテレビ動画を流用するだけでは多くの効果は期待できません。
テレビCMとオンライン動画CMの違いを考えてみましょう。
①視聴環境の違い(画面に向かう姿勢の違い)
- オンライン動画:LeanForword(前のめり状態)
- テレビCM:LeanBack(後ろにもたれた状態)
最も大きな違いは視聴に対する姿勢です。
テレビCMは「ながら視聴」が中心となります。
食事をしながら、掃除をしながら、支度をしながら・・・と何かをしながら視聴する場面が多くなります。
一方でオンライン動画は、スマートフォンやPCで視聴する為に画面に対する注力度が違います。
オンライン動画のユーザーは画面と向かい合い、情報を選別しながら積極的に視聴をしています。
②スキップ機能(デバイスが違う)
- オンライン動画CM:スキップ機能あり
- テレビCM:スキップ機能なし。
テレビCMは、トイレタイムや録画時を除いては基本スキップという行為はありません。
逆にオンライン動画CMはスキップ機能を活用しなが視聴するのが基本です。
操作の主導権が視聴者側にある為に、ブランドイメージ中心のテレビCMを流用するだけではスキップされる可能性は高くなります。
オンライン動画はターゲットが絞れる特性を生かし、ユーザーに対して『自分ごと』と認識させる演出が非常に重要です。
③広告料金とターゲット設定
- オンライン動画CM:安価で料金設定が幅広い
- テレビCM:高価
オンライン動画はテレビCMと比較すると広告料金が非常に安価です。こまかなターゲットの設定も可能です。
テレビCMの様に審査も厳しくありません。動画のクオリティも重要度が高くありません。尺も自由です。
広告予算の少ない中小企業でも利用することが可能です。
一方でテレビCMは効果です。全国ネットで15秒CMを1回放映する単価が200万程度も珍しくありません。
また、テレビCMを放映する企業でも、費用対効果を良くする為に、オンライン動画で効果のテスト(ABテスト)を実施してから、
高価なテレビCMに出稿することでテレビCMの費用対効果を高めることが可能になります。
④行動に直結
- オンライン動画CM:デバイスがスマートフォンやPCの為、そのまま購買などの行動に直結
- テレビCM:行動にはスマートフォンやPCを介する必要あり
オンライン動画は、動画上から「ワンクリック」で企業のWebサイトへの誘導が可能です。
ランディングページの連動をしっかりと意識することで直接的な関係構築が可能です。
また、Facebook動画などは『いいね』『シェア』などの拡散が期待出来ます。
テレビCMの場合は、一度スマートフォンを経由するなどの間接的な作業が必要になります。
まとめ
オンライン動画の主役はユーザーです。視聴するか否かの主導権はユーザー側にあります。
テレビCMよりもユーザーに支持されるコンテンツの提供が重要となります。
前のめり視聴状態にある為に視聴者に支持されるコンテンツの提供ができれば、そのまま購入などの効果が見込めるのもオンライン動画CMの大きな魅力です。
WEBページへの誘導が課題となるキャンペーンではオンライン動画CMを中心とした展開が重要となります。
しかし、ターゲットが絞れるだけに顕在層へのアプローチには優れていますが、潜在層へのアプローチ(※)は弱い媒体です。
これからは、競争の激しい顕在層へのアプローチだけでなく潜在層へのアプローチも重要です。
潜在層へのアプローチを考えると、全国に一斉に配信ができるテレビCMのパワーは絶大です。
現時点では、どちらが良いと断言できる状況ではありません。
テレビCMと動画CMのメリットとデメリットを理解しながら、テストを繰り返しサービスや商品に合わせた選択が必要です。
また、導線として、テレビCMやオンライン動画の実施と同時に、電車内や駅構内のデジタルサイネージ、映画館のシネアド、屋外の大型ビジョンなどの組み合わせも効果的です。
(※)将来顧客になりうる潜在層へのアプローチとして「コンテンツマーケティング」という考え方が非常に重要になっています。