ステルスマーケティング規制とは?2025年最新動向と広告の対応策!

法律・倫理・ガイドライン

芸能人やインフルエンサーの投稿が「実は広告だった」――そんなステルスマーケティングに対し、日本でも本格的な規制が始まりました。

2023年10月に景品表示法が改正され、2024年以降は企業の広告活動に大きな変化が求められています。本日は、最新のステルスマーケティング事情と広告主・代理店が取るべき対応策を解説します。

 

ステルスマーケティングとは?

ステルスマーケティング(ステマ)とは、広告であることを消費者に隠して行われるマーケティング手法です。

インフルエンサーや著名人がSNSで商品を紹介する際、広告であると明示しないケースがこれに該当します。

なぜステルスマーケティングは問題なのか?

では、なぜ「ステルスマーケティング」は問題なのでしょうか?下記にまとめてみましょう。

理由 内容
消費者を誤解させる 普通の口コミと誤認させ、公正な判断を妨げる
信頼性の欠如 発覚した際に企業やブランドの信頼が損なわれる
法律違反のリスク 多くの国で広告表記が義務化されており、違反時には処分対象となる

 

ステルスマーケティングの具体例

  • 架空の例①:インフルエンサーのスキンケア推奨 インフルエンサーが「最近肌の調子が良くなった!」と特定のスキンケア商品を紹介。 実はその投稿は企業から報酬を受けた広告だったが、投稿には一切その明記がなかった。
  • 架空の例②:YouTuberのガジェットレビュー ガジェット系YouTuberが新作スマートフォンを絶賛レビュー。 しかし視聴者には一見分からない形で企業から無償提供とレビュー依頼を受けていた。
  • 実例:某芸能人のダイエット茶紹介(2021年報道) 人気タレントがSNSでダイエット茶を日常使いとして紹介し話題に。 消費者庁の調査で、企業からの広告依頼であったことが判明し、後に投稿削除と謝罪文掲載に至った。

これらの例からも分かるように、消費者の信頼を裏切る形で商品を推奨する行為は、社会的信頼を大きく損ねるリスクを伴います。

法規制の背景と内容

2023年10月1日から施行された景品表示法改正では、ステルスマーケティングを不当表示として法的に規制しました。

主なポイント:

  • 対象者: 広告主(企業)に限定
  • 内容: 「広告であるにも関わらず明示されない表示」は違法
  • 範囲: インフルエンサー自身は罰則の対象外
  • 違反時: 措置命令や企業名の公表など行政処分の対象

つまり、広告主が第三者を介して広告を行う場合でも、「広告であることを明示する義務」があるという点が明文化された形です。これにより、企業は広告活動の透明性を一層厳密に管理する責任を負うことになります。

市場・広告業界への影響

今回の改正は、インターネット広告市場の急拡大に伴うものと考えられます。

  • ステマが広く常態化していた実態に規制が追いついた形
  • 広告主、インフルエンサー、そして広告代理店にも高い理解と透明性が求められる時代へ

つまり、広告の手法が多様化する中で「ルールに基づいた透明な情報発信」が業界全体の信頼を守るカギとなっています。

企業が取るべき対応

企業は以下のような対策が求められます:

  • マーケティング部門への法令周知
  • インフルエンサー起用時のガイドライン整備
  • 社内ルールやフローに「広告表記の徹底」を組み込む
  • 法務・広報・マーケの連携強化

 

 

つまり、広告を依頼する立場としての責任を明確に認識し、社内体制から見直すことが、ステマリスクを回避する第一歩となります。

個人のSNS活用は規制対象?

  • 規制対象: 企業が指示・依頼した投稿
  • 対象外: 個人が自発的に製品を紹介した投稿、事業者提供品への私的感想など

つまり、「PR依頼があった投稿」に限り、規制が及ぶ点が重要です。個人が自身の判断で製品レビューや感想を投稿する場合には、この規制の対象外となるため、自由な表現として認められています。

また、企業や広告代理店がインフルエンサーと連携して広告を行う場合でも、「広告であること」を明確に表示すれば、違法にはなりません#PR、#広告、提供:○○などの表記を徹底することで、合法かつ信頼性の高いプロモーションが可能になります。

広告代理店が行うべき5つのステマ対策

1. スタッフ教育・情報共有

  • 勉強会の定期開催、法改正内容を社内イントラネットや社内報・メルマガを活用して分かりやすく周知

2. 表記ルールの徹底

  • SNSやブログ投稿には「#PR」「広告」などの明記を徹底
  • クライアントやインフルエンサーにも厳守を依頼

3. 事前チェック体制の構築

  • ステマになり得る投稿を事前に確認できるリストやフローを整備
  • 内部通報・相談窓口の設置

4. クライアントへの法規制ガイダンス提供

  • 規制内容の理解を促進し、安心して広告展開できる環境を構築

5. キャンペーン全体のモニタリング

  • 投稿や広告の全体監視と、問題があった場合の即時対応体制を用意

まとめ

ステルスマーケティング規制は、広告の透明性と信頼性を問う新たな時代のルールです。

広告代理店にとっても、マスメディア時代と同様に「明確な広告であること」の基本を再確認し、クライアントと消費者の信頼をつなぐ役割が一層重要になります。