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新聞社 新規事業

新聞社の未来を考察

新聞の発行部数は減少を続けています。
1年間で産経新聞社が1社、地方新聞社が数社倒産するレベルの部数減が続いています。

新聞の発行部数は減ることはあっても、今後増えることはありません。
部数を増やす為の唯一の方法は、無料配布のみです。

 

無料配布にして広告収入が販売収入を上回ればOKですが、
新聞社の収入の中心は販売収入ですので、その決断は難しいでしょう。

ということは、

新聞購読による収入以外の事業を考えない限り、新聞社に未来はない

ことは明確だということになります。

では、現在の新聞社の売上内訳を見てみましょう。

新聞社の収入の仕組み

 

新聞社の収入は大きく3つに分かれます。

  1. 新聞の購読による販売収入
  2. 新聞広告による広告収入
  3. その他収入

新聞社の売上の内訳

新聞社の売上の総額と、その内訳を見てみると。

2007年度の総売上は、22,490億円です。
内訳は、

  1. 新聞の購読収入:12,428億円(55%)
  2. 新聞広告による広告収入:6,646億円(30%)
  3. その他収入:3,416億年(15%)

となります。

販売収入が中心となり、広告収入と合わせると85%となります。

10年後の2017年になると、総売上は17,122億円です。

2007年と2017年の10年間を比較すると、
売上の総額は24%(5,368億円)ダウンしています。
内訳を見てみると、

 

  1. 新聞の購読収入:9,900億円(58%)
  2. 新聞広告による広告収入:3,551億円(20%)
  3. その他収入:3,672億年(22%)

上記のように、10年間で最も多く収入が減少したのは広告収入です。
売上に閉める割合が30%から20%に大きく減少しています。

2007年度と比較すると、

  1. 9,900億円:2007年度比ー2,528億円-30%
  2. 3,551億円:2007年度比ー3,095億円ー47%
  3. 3,672億年:2007年度比+256億円(+107%)

 

10年間で広告収入が半減、販売収入が30%のマイナスとなり、
その他収入だけが
プラスとなっています。

実際は、『押し紙問題』により購読収入は調整していますので、
①及び②はともに―50%と見て間違いないでしょう。

 

このままだと、2030年待たずに多くの新聞社は消滅することになるでしょう。
『押し紙』の調整がいつまで持つのか?が新聞社の命運を握っている可能性すらあります。

 

では、

今後新聞社はどうすればいいでしょうか?

 

上記項目で、新聞社の努力で売上をアップさせることができるのは、
②(広告収入)及び③(その他収入)のみになります。

マンションなどのセキュリティの強化などの環境が強化されてきていることで訪問販売ができなくなり、
キヨスクなどの外出先での購入も見込めませんので、①(販売収入)が回復することはありません。

しかし、発行部数が減少を続ける状況ですので②(広告収入)も非常に厳しい状況と考えられます。
『押し紙』が表面化した段階で、①及び②は壊滅状態になります。

つまり、新聞社が生き残る為には、

③(その他売上)をアップさせるしか方法は無いことが分かります。

 

では、新聞社が「その他売上げ」を上げる為にどうすればいいのか?
を考えてみましょう。

 

新聞社の「その他売上」を考えてみる。

 

新聞社 新規ビジネス

「その他売上」とは「新規事業」と考えればいいでしょう。

 

①日刊(デイリー)メディアとしての価値向上

販売部数の回復は現状のままでは見込めません。
しかし、何もしない訳には行かないでしょう。

新聞最大のメリットを考え、その部分で勝負するしかありません。

新聞最大の特徴は日刊(デイリー)発行です。
毎日家庭に届く宅配制度は世界でも稀でしょう。
また駅やコンビニで気楽に購入できる仕組みも大きな特徴と言えます。

このメリットを活かさない手はありません。

しかし、インターネットやテレビでリアルタイムの情報の取得が可能な時代において、
時間差で配布される情報の古さは致命的です。
つまり、新聞に1部1500円以上のコストを出すだけの価値が無い。と思われているのが現状です。

 

新聞に150円の価値が無い。というのが現実!

 

では、どうすればいいのでしょうか?

150円以上の価値を提供するしかありません。

その為には経済面・社会面・スポーツ面。社説など既存の構成に固辞する古い考え方を変えなければいけません

そのタイミングで読者が読みたくなるコンテンツをフレキシブルに特集し提供することで
新聞の価値を改めて訴求していく取り組みが必要です。

 

既存の構成によるスペースに合わせて、記事のボリュームを合わせるのではく、
読者が読みたくなる「タイミング」に合わせて構成は思い切って変えればいいんです。

30ページとか40ページで構成されていて、自分が興味のあるスぺ-スが1ページ
の読み物を有料で購入する時代ではありません。

マーケティング調査をし、必要な部分は最低限のスペースで残し、枠はフレキシブルに変更。
ダイナミックな読み物にする必要があります。

メインの読者層に読み応えのある内容に特価するのも方法でしょう。

 

②デジタル化の加速(5Gへの取り組み)

 

新聞社のデジタル化は進んでいます。様々な取り組みをしていますが、
全くスピード感も斬新さもありません。

紙の情報をデジタル化する方法を試行錯誤しているだけです。
ネーミングなどどうでもいいんです。

今のままだと、デジタル化しても、自分に不要な情報が多数を占める為、
固定の読者以上に新規の読者が増えることはありません。

ボリュームに合わせた課金方法などもありますが、試そうと思わせる魅力も伝わっていません。

月額の契約形態を試行錯誤しているだけでは、根本的な解決にはならない。ということです。

5Gが当たり前になる訳ですから、
テキスト中心から、音声や動画の配信を増やす必要があります。

動画の配信などは、読者別に様々な配信内容を準備することが必要です。
双方向の取り組みも全く足りません。

送り手として学生と協力する。またコンテンツを学生が選定する。等の取り組みにより
現状の一方的な情報提供の方法は改めなければいけません。

動画配信を思いっきり学生に任せてしまうような攻めの姿勢が必要です。
今のままでは若年層の取り組みは不可能です。

ニコニコ動画のような「双方向の取り組み」をしてもいいでしょう。

 

③新聞社の資産を有効活用する

 

・販売店

日本の隅々までを網羅している販売店の有効活用は絶対に必要です。
『押し紙』による経費負担を補填する新たな取り組みをしなければ、販売店が無くなってしまいます。

コロナ渦による生活様式の変化、少子高齢化による『老人の一人暮らし』に対する解決策
を提供できる可能性があるのが『新聞社の販売店』という仕組みです。

 

・取材力

新聞社 取材力

 

新聞社の取材力は他に類を見ない能力です。
この取材力に対するニーズは相当数あります。
企業の顧客対策や競合対策、調査やマーケティング分野で大きなビジネスチャンスが考えられます。
新規事業として、人材の提供にも取り組むべきでしょう。

 

・人脈

新聞社の人脈も大きな財産です。
経済界だけえなく、世界中に人脈があります。
グローバルな世界で、どうしていいか?分からない企業に対するコンサルティングも
新規事業として可能性が非常に高いでしょう。
政治家とのつながりを活かす方法も考えるできでしょう。

 

・編集力

新聞社 編集力

新聞社の文章力・編集力も他に類を見ない能力です。
インターネット上での的確な情報提供ができるコピーライターとして
存在価値は必ずあります。

 

・固定資産

多くの新聞社は一等地に固定資産を持っています。
戦後、新聞を電車で配達した経緯から駅と直結したビルを持っているのも特徴です。

このビルを単なるテナント収入や自社にオフィスとして活用するだけでは
有効活用ができていません。
新聞社ならではの活用方法があるはずです。

 

まとめ

 

新聞社=紙の新聞。というビジネスモデルは必ず終わります。
このままでは、規模の縮小や合併で細々と事業を継続するか?倒産しか選択肢はありません。

情報で商売をする為には、デジタル化の世界で、斬新な方法でビジネスモデルを構築するしかありません。

そして、同委に長年培った能力を新聞以外の分野で活用する施策を考えることも重要です。

V字回復への唯一の対策なのです。

新聞社には『信頼』という財産があります。

この財産を活かすことが、V字回復への唯一の対策になるでしょう。。

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