インターネット広告とオールメディア の違い
インターネット広告の普及に伴い、オールドメディアからインターネット広告への大きな流れが留まる気配はありません。
スマートフォンやSNSの普及によるマスメディア離れが主な原因ですが、実はそれだけではありません。
インターネット広告とオールドメディアでは、媒体社側のスタンスにも大きな差があるのです。
その結果、広告を掲出する側がオールドメディアを避けるようになっている側面も無視できません。
簡単に言うと、
融通が利くのがインターネット広告、利かないのがオールドメディアです。
インターネット広告とオールドメディアでは、審査基準・審査期間・入稿締切日・掲出素材の差し換え対応などにおいて大きな差があります。
この『融通が利くか利かないか』とおいうのは非常に大事な要素なのです。
審査基準
オールドメディアとインターネットメディアとの、最も大きな違いは【審査基準】です。
新聞社などは各新聞社独自の審査基準だけでなく、新聞というメディア全体としての審査機関まであります。
新聞広告を例にすると、一般社団法人日本新聞協会:新聞広告掲載基準が参考になります。
中心となる方針は、
『日本新聞協会の会員新聞社は新聞広告の社会的使命を認識して、常に倫理の向上に努め、読者の信頼にこたえなければならない』
と定められています。
- 1. 新聞広告は、真実を伝えるものでなければならない。
- 1. 新聞広告は、紙面の品位を損なうものであってはならない。
- 1. 新聞広告は、関係諸法規に違反するものであってはならない。
虚偽の発行部数を公表しているにも関わらず、広告の掲載基準は異常に厳しいのです。
そもそも、今の若年層に新聞の品位という意味が通じることはありません。
新聞広告は、審査の厳しさにより、『掲出不可』になるケースは珍しくありません。
インターネット広告が普及した時代において、このような体質は大きな“足かせ”となります。
「じゃあ、他の広告に掲出するから結構です」というのが広告を掲出する側の心理です。
別に新聞広告を出さなかったからといって、企業の業績が下がることはありません。
読者が減り続けているにも関わらず、審査基準は40年以上変わっていないのです。
インターネット広告に審査基準を近づける柔軟さがオールドメディアにも必要になってきているのです。
このような事を言うと、必ず
「新聞広告はインターネットとは違う。広告効果だけでなく信頼性が得られるメディアだ」
「新聞広告に掲出できたということが社会的信頼につながる」という反論があります。
しかし、良く考えてください。
そもそも生活者(特に若年層)は新聞に品位など感じていませんし、新聞広告に厳しい審査があることも知りません。
新聞広告に接する機会もありませんので「新聞広告を掲出している企業は素晴らしいに違いない」などとは思いません。
通用しないプライドは不要なのです。
審査期間
マスメディアや交通広告などは、厳しい広告基準だけでなく、審査期間も長いのが特徴です。
審査の結果まで1週間、修正依頼が入ると修正して再入稿まで3日、再審査に1週間・・・これで2週間です。
素材入稿の締め切りが2週間前の場合、1カ月前から作業に入らなければいけません。
掲載の直前の入稿しても掲出が可能で、審査も柔軟なインターネット広告と比較すると、これは大きな差となります。
入稿締切日
審査期間でも触れましたが、オールドメディアは、広告素材の入稿締切日の早さも特徴です。
特に、印刷が必要な交通広告や、発売日が少ない月刊誌などは顕著です。
インターネット広告の普及により柔軟な対応に慣れはじめている広告主にとっては、不満の要因となります。
オールドメディアの為に、インターネット広告の製作まで早めなければいけません。
デジタル時代に合わせた入稿スケジュールも検討しなければいけません。
広告素材の差し替え
インターネット広告は、広告素材の差し替えが容易です。
広告効果【ABテストなど】を実施しながら、素材を頻繁に差し替えすることができます。
広告掲出と広告の測定が同時に実施できるとうことです。
オールドメディアは違います。
テレビ広告は、ある程度の対応は可能ですが、基本的には、一度掲出したら、掲出終了まで差し替えはできません。
数種類の広告を頻繁に変更することができるインターネット広告と、差し替えができないオールドメディアの差は大きいと言えます。
まとめ
インターネット広告が成長する理由は、サーキュレーションの増加だけではありません。
広告主側のインターネット広告担当者は、若年層が多数を占めるようになっています。
当然、インターネット広告の対応がスタンダードになります。
サーキュレーションが下がり続けるオールドメディアは、
『インターネット広告に負けない対応力』
が今こそ必要だと言えます。